この記事はこのような疑問を持っている方に向けて書いています。
地頭力を鍛えるためにフェルミ推定の問題を日々解いているのですが、今回は「宅配ピザの店舗数」という問題を解いてみたので、今回はその解くまでの過程と、実際の宅配ピザの店舗数を解説していきます。
フェルミ推定の推定方法や、実際の答え合わせとして活用してみてください!
(実際の答えのみを知りたい方は、目次の「現実性検証」をクリックしてください!)
フェルミ推定の5つのステップ
フェルミ推定は下記5つのステップで解いていきます。それぞれステップ毎に解説していきます。
STEP | 詳細 | |
1 | 前提条件 | 解く問題の前提条件を定義する |
2 | アプローチ設定 | どういったアプローチ方法で数値を推定していくか、基本的な計算式を定義する |
3 | モデル化 | 計算の精度を上げるために、アプローチ設定で定義した計算式を分解する |
4 | 計算実行 | モデル化で分解した計算式で計算をする |
5 | 現実性検証 | 実際の数値と合っているか確認する |
そもそもフェルミ推定のやり方がわからないという方は下記の記事からご覧ください!
前提条件
「宅配ピザの店舗数」を今回は、
- 「日本全国にある宅配ピザの店舗数」
として定義し計算しました。
宅配ピザはドミノピザやピザーラといった宅配ピザチェーンの店舗です。
アプローチ設定
次にどういったアプローチで計算するか、基本的な式を作ります。
日本全国の宅配ピザの注文数は、「宅配ピザ1店舗あたりの注文数 × 日本全国宅配ピザの店舗数」で求めることができます。
そのためこの式をベースに組み替えていくと、日本全国の宅配ピザの店舗数は
- 日本全国の宅配ピザの注文数 ÷ 宅配ピザ1店舗あたりの注文数
で求めることができますね。
この計算式をベースにフェルミ推定を進めていきましょう。
モデル化
アプローチ設定で定義した計算式を、計算の精度を上げるために分解していきましょう。
日本全国の宅配ピザの注文数
宅配ピザは複数人で注文することが大半であることを考えると、日本全国の宅配ピザの注文数は「日本の世帯数 × 宅配ピザの注文頻度」で求めていこうと思います。
(ここではイメージしやすくするために、宅配ピザを年何回注文するか、という観点で推定していきます。)
宅配ピザの注文頻度は子供がいる家庭の方が注文頻度が高そうなので、「世帯 × 年代」のセグメントで注文頻度を推定しようと思います。
下記のように定義したところ、1年間の宅配ピザの注文数の合計を「9,750万回」として求めることができました。
20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代~ | |
世帯数 | 750万 | 750万 | 1,000万 | 1,000万 | 750万 | 750万 |
注文頻度/年 | 2回 | 2回 | 3回 | 3回 | 1回 | 0回 |
注文数 | 0.15億 | 0.15億 | 0.3億 | 0.3億 | 0.075億 | 0 |
※ロジック
- 20~30代:半年に1回注文すると仮定して年2回
- 40~50代:家庭を持っている世帯が多く、3ヶ月に1回注文するとして年3回
- 60代:注文する頻度も少ないだろうとし、年1回と仮定
- 70代~:年0回と仮定
宅配ピザ1店舗当たりの注文数
宅配ピザ1店舗あたりの年間の注文数は
キャパシティ(従業員数) × 稼働率 × 回転率/時 × 営業時間 × 営業日数
で求めることができます。
- キャパシティ:文字通り店のキャパシティのこと。座席数やレジの台数、従業員数など。
- 稼働率:キャパシティが平均どれだけ稼動しているかの割合。
- 回転率:特定の時間あたり、商品がどの程度注文されているかの割合。例えば1時間で5注文の場合、1時間当たりの回転率は「5時間 ÷ 1時間 = 5」となる。
宅配ピザのアルバイトはしたことがありませんが、過去の飲食店のアルバイト経験から下記のように仮定しました。
- 従業員数:3人
- 稼働率:50%
- 回転率/時:5(1時間あたり5枚程度ピザを作れると仮定)
- 営業時間:12時間(AM10:00~PM10:00と仮定)
- 営業日数:360日(年に何日かは休みの可能性を考慮)
これを全て掛け合わせてみると、
「3台 × 50% × 5 × 12時間 × 360日 = 32,400」
となり、宅配ピザ1店舗当たりの注文数(※年間)は「32,400人」として推定できました。
計算実行
モデル化で定義した数字を全て掛け合わせると、
日本全国の宅配ピザの注文数 ÷ 宅配ピザ1店舗あたりの注文数
= 9,750万 ÷ 32,400
= 3,009
日本全国の宅配ピザの店舗数は「3,009店舗」と推定できました。
現実性検証
今回推定した数字を、実際の数字と比べて検証してみましょう。
日本全国の宅配ピザ店舗数 | |
推定値 | 3,009店舗 |
実際の値 | 2,144店舗 |
宅配ピザの主要店舗5社の店舗数を、公式HPや様々な記事でリサーチした結果、日本全国の宅配ピザの店舗数は「2,144店舗」であることがわかりました。
順位 | 店舗名 | 店舗数 |
1 | ドミノピザ | 900店舗(22年3月時点) |
2 | ピザーラ | 553店舗(16年6月時点) |
3 | ピザハット | 500店舗(22年9月時点) |
4 | ナポリの窯 | 105店舗(21年11月時点) |
5 | 宅配ピザ テンフォー | 86店舗(20年1月時点) |
今回推定した数値は桁数は合っていましたが、実際の値と1,000店舗程度乖離してしまった結果となっております。
なぜ実際の数値と乖離してしまったのか。
ドミノピザの売上は年間775億円、店舗数が900店舗であることから、1店舗当たりの売上は約8,600万です。
ドミノピザのメニューをみると、ピザは2,000~4,000円の価格帯だったため、客単価を約3,000円とすると、
- 宅配ピザ1店舗の年間の注文数は約28,700人
- 日本全国の宅配ピザの注文数は約6,150万(28,700×2,144店舗)
であることがわかりました。
そのため、今回は日本全国の宅配ピザの注文数を高めに推定してしまったことが問題のようです。
日本全国の宅配ピザの注文数 | 宅配ピザ1店鋪あたりの注文数 | |
推定値 | 9,750万 | 32,400人 |
実際の値 | 6,150万 | 28,700人 |
宅配ピザの利用頻度調査をみると、そもそも宅配ピザを注文しない人が約70%、宅配ピザを注文する人は1ヶ月〜半年に1回が大部分を占めていました。
そのため「世帯数 × 宅配ピザの注文頻度」ではなく、「世帯数 × 宅配ピザを注文する世帯の割合 × 宅配ピザの注文頻度」とし、「5,000万 × 30% × 3回~4回 = 4,500万~6,000万」とざっくり推定してもよかったかもしれませんね。(結果論ですが)
余談ですがコロナ禍でデリバリー需要が上がり、各社店舗数を急速に伸ばしていくようです。
気になる方は「出典/参考文献」に載せている記事をみてください!
また、他にもフェルミ推定の例題と解答一覧をまとめておりますので、他の問題に挑戦したい方はぜひ下記のURLから問題に挑戦してみましょう!