この記事はこのような疑問を持っている方に向けて書いています。
地頭力を鍛えるためにフェルミ推定の問題を日々解いているのですが、今回は「タクシーの1日の売上は?」という問題を解いてみたので、今回はその解くまでの過程と、実際のタクシーの1日の売上を解説していきます。
フェルミ推定の推定方法や、実際の答え合わせとして活用してみてください!
(実際の答えのみを知りたい方は、目次の「現実性検証」をクリックしてください!)
フェルミ推定の5つのステップ
フェルミ推定は下記5つのステップで解いていきます。それぞれステップ毎に解説していきます。
STEP | 詳細 | |
1 | 前提条件 | 解く問題の前提条件を定義する |
2 | アプローチ設定 | どういったアプローチ方法で数値を推定していくか、基本的な計算式を定義する |
3 | モデル化 | 計算の精度を上げるために、アプローチ設定で定義した計算式を分解する |
4 | 計算実行 | モデル化で分解した計算式で計算をする |
5 | 現実性検証 | 実際の数値と合っているか確認する |
そもそもフェルミ推定のやり方がわからないという方は下記の記事からご覧ください!
前提条件
「タクシーの1日の売上」を今回は、
- 「タクシー1台あたりの1日の売上高」
として定義し計算します。
また、タクシーの勤務形態は隔日勤務とし、1日の勤務時間をAM7時〜AM3時までの17時間(20時間の拘束時間 – 3時間休憩)と定義しようと思います。
【タクシーの勤務形態】
タクシー会社では主流の勤務形態になるのが、この「隔日勤務」になります。
勤務時間は、昼日勤と夜日勤の2つをくっつけて2日分を一気に働くような勤務形態です。
隔日勤務の場合、出勤した日の仕事終わり、つまり出勤の翌日は「明番」というお休みになります。勤務時間は、だいたい20時間程度の勤務で、その間に3時間休憩休憩が入るのが一般的な隔日勤務のスタイルです。
(出典:タクシードライバーの勤務形態・勤務時間を勤務スタイルの例で徹底解説!)
アプローチ設定
次にどういったアプローチで計算するか、基本的な式を作ります。
売上高を求める式は「注文数 × 客単価」で計算することができます。
そのためタクシーの1日の売上高は
- タクシーの1日の乗車数 × 客単価
で求めることができますね。
この計算式をベースにフェルミ推定を進めていきましょう。
モデル化
アプローチ設定で定義した計算式を、計算の精度を上げるために分解していきましょう。
タクシーの1日の乗車数は「1時間あたりの乗車数 × 営業時間」で求めることができます。
ざっくり1時間あたりの乗車数を推定しても良いのですが、乗車数は時間帯によって変わってきそうなので(客単価も同様)、それぞれの数字を深夜料金かそうでないかの切り分けで数字を当てこもうと思います。
経験則などをもとに当て込んだ数字は下記の通りです。
AM7:00 ~ PM22:00 | PM22:00 ~ AM3:00 | |
1時間あたりの乗車数 | 3人 | 1人 |
勤務時間 | 12時間(休憩3時間除き) | 5時間 |
客単価 | 1,000円 | 3,000円 |
- 朝〜午後は短距離利用者が多そうなので乗車数は多く、客単価は低めに設定(初乗り料金+1m~3m程度)
- 深夜以降は終電を逃し長距離利用者が増えそうなことから乗車数は少なく、客単価を高めに設定。
計算実行
モデル化で定義した数字を全て掛け合わせると、タクシー1台の1日の売上は「51,000円」と推定できました。
AM7:00 ~ PM22:00 | PM22:00 ~ AM3:00 | |
1時間あたりの乗車数 | 3人 | 1人 |
勤務時間 | 12時間(休憩3時間含む) | 5時間 |
客単価 | 1,000円 | 3,000円 |
売上 | 36,000円 | 15,000円 |
現実性検証
今回推定した数字を、実際の数字と比べて検証してみましょう。
タクシーの1日の売上 | |
推定値 | 51,000円 |
実際の値(令和元年 ※コロナ前) | 51,284円 |
実際の値(令和3年 ※コロナ後) | 42,522円 |
東京のタクシー2022という資料を見ると、東京23区を中心とした地域で、令和3年の実働車1日1車当り運送収入が42,522円、コロナ前の時期では51,284円でした。
そのため今回推定した5.1万円という値は実際の値とニアリーイコールでしたね。
一方で、実際の1日あたりの乗車数は23人、実際のタクシーの平均客単価は「1,832円」だったため、今回は乗車数を高めに、客単価を低めに推定していました。
結果としては近しい値を出せましたが、1日の乗車数はもう少し丁寧に推定した方がよかったかもしれません。
タクシーの1日の乗車回数 | 平均客単価 | |
推定値 | 37人 | 1,378円 |
実際の値(令和元年 ※コロナ前) | 27人 | 1,899円 |
実際の値(令和3年 ※コロナ後) | 23人 | 1,832円 |
客単価はコロナ前後でそこまで変わっていないことから、タクシーの利用者数が減ってタクシーの売上が減っていることもわかりました。
いかがだったでしょうか。
簡単な計算式を作り、分解、そしてその分解した数字が何の要因によって変化してきそうか(今回は時間帯)をしっかり抑えられれば、ある程度外さないかたちで数字を推定することができます。
タクシーの売上以外にも売上を推定する問題は色々あるので、フェルミ推定をしてどんどん地頭力と知識をつけていきましょう!